パンローリングの投資本が大好きなので、試しにこれも読んでみた。
大まかな内容、筆者の投資スタイル
本の中では、投資で長期的に勝つための「心理」・「手法」・「資金管理」の3つを併せて「脳ポートフォリオ」と呼んでいる。
投資法を学んだり、なぞっただけでは身につかず自分なりに投資経験値を貯めることでできる、自分なりの投資に対するポートフォリオが出来上がることで投資の勝者になれるとしている。
筆者はテクニカル分析からのデイトレでの取引を得意としているようだ。筆者自身の現在のアセットアロケーションは明確ではないが、初めのうちは短期取引で稼いでいたっぽい・・・?
相場に入ったタイミングで利確・損切りライン等を機械的に定めておいて予め定められた上下のタイミングで取引が実行されるように設定するスタイルである。短期の取引をする人にはこういうやり方をする人が多いのかは、私には定かではないがどうなんだろうか。
「通算投資年数3~5年、投資本を50冊読む、売買回数500回以上」が、脳ポートフォリオが出来上がってくるための条件としている。この売買回数500回というのはかなりハードルが高く感じられる。
要は短期取引で差分を取るような取引をこなして、「損切りの経験」を積ませて損きりを自動的にできるようにするというのが意図なのだと思う。
損した時の対処法が身についていれば、退場する可能性が減り、勝ち方自体は取引経験に基づいてそれぞれオリジナルで生み出していけばよく、チャートから出ているのがノイズだろうがなんだろうが負けない投資をやれる人が正義というスタイルの本。
筆者はいわゆる「イナゴ初心者」みたいな人を毛嫌いしているようで、「彼らは銘柄を教えてと言ってきたり、勝ち方の方法を聞いてくるが話自体聞いてないのでチェリーピックして、損すればこちらのせい。だから話したくない」というようなことを繰り返し言っている。
恐らく投資初心者に絡まれて親切にしたところで儲からなかった相手に掌返しされて嫌な目にあった経験があるのだろう。
本の気になったポイント
正直「これからパンローリングの投資本を読む人へ」という本のタイトルで期待した内容ではない。
最初の方は、投資初心者の負け方と、勝つには努力して売買経験と投資本を読んだりして自己のスキルアップに励まなければならないという内容がまとまっている。
その後は、自己の投資スタイルの紹介とチャート分析の紹介などからどうやって相場で生き残っていくかの話になっているが、最初の調子でずっと進んでいくことを期待していたので、具体的な投資手法の話がガッツリ入るとは思わなかった。
名前からは「投資はこれだけ厳しい世界です、儲かると思って安易にやらない方がいいですよ。それでもやるなら勉強しましょう。勉強する際にまず投資スタイルはこういう種類があります。それぞれの投資スタイル毎にこれを志すのであらば、パンローリングではこの本を読むのがおすすめです!」というような本を期待した。
著者の投資スタイルや実際の投資スタイルを作り上げていく過程の話をされてしまうと、もうそれは個別の投資本の話なので「これからパンローリングの投資本を読む人」というタイトルと乖離しているのでは? という感じ。これは名付けの問題である。
私がタイトルをつけるならば「脳ポートフォリオの作り方、投資スタイルを組み上げて相場で死なないコツ」とでもする。
他の投資本との比較
デイトレード、スイングトレードなどの短期投資をやろうと志したことがないので、その辺りの内容は新鮮に感じた。
チャート分析の諸々の用語も知らなかったので、短期投資の用語の意味をなんとなくとはいえ知ることができてよかった。
読んだことのないタイプの投資本だったので、私にとってはかなり新しい経験だった。
短期投資の本を読んだ経験が少ないため、他の投資本と比較してどうという話がしにくい。
少し古い本ではあるので、現在の状況を織り込んだ話ではないというのは難点。
この本で勧めているのが色んな本を読むことなのだが、では色んな本を読んだ後にこの本に戻ってきて読み直すほどエッジが立った内容かと言われるとそれは怪しい。素直に古典と名著を読む方がいいかもしれない。
言いたいことが「相場・投資は難しい。投資で生き残るには本を読んで先人に学び、実際に試行錯誤して生き残る自分なりの術を見つけよう」と一言で纏まる内容ではある。
そのため、たまたま投資を始めたら爆益してしまって仕方がなく、調子に乗ってしまっている羨ましいタイプの投資家にはすごくおすすめである。この本を読んで深く反省するがいい。そして、銘柄をこっそりと私に教えるように。