大好きなバフェット本
バフェット関連の本はなるべく読むようにしている。長寿、バリュー投資の上手さ、ケチと見習うべきところと見なうべきでないところの絶妙な同居がたまらないからだ。
この本も、バフェットを解剖してくれるらしいので読んでみることにした。
大まかな内容、留意して読みたい点
「世界一の投資家は長期投資ではなかった」というのがサブタイトルだが、これはちょっと煽りが過ぎるかもしれない。
バフェットの直近30年程度の銘柄の回転年数である平均売買期間が3.8年だから長期投資ではないのではないか、という風に著者は書いている。
まあ、そういう判断もないではないと思うのだが長期・とか短期とかはあくまで相対の話でしかない。
なので、バフェット以外の有名投資家もしくは長期投資家、あるいは短期投資家と呼ばれている人間など他との比較の軸がないとまずこの話自体ができないなーと感じた。(全ての人間が100年必ず株を保有する世界ならば、株を必ず50年持って売る人がいた場合に相対的には短期投資家になるので。)
一応ファンドと比較しているところが出てくるが、資金の出入りで銘柄を売買させられる種類のファンドでは比較対象として適切ではない気がする。この場合、比較すべきは光通信ではないか。
それは冗談として、著者は後書きでS&P500を上回っているがそれはバフェットの腕かどうかはわからないとしている。
大型株しか買えない状態で、30年の結果でS&P500を上回って腕ではない、と言われるのは流石に酷なものではないかと私は思う。
著者の論拠として、Appleへの投資が利益の大半を稼いでいるからというのがあるが、「長期的にバリューであること」を見抜けたから、10年近く保持して利益が上がったのではないかとも思ったりする。
結局は「よくわからない」というのが落とし所で、著者もそういう捉え方のようなのだが、じゃあなぜ本を書いたのだという気はする。(解剖したけどわかりませんでした、新しい解釈の軸も特にありません。というのだと、ちょっと寂しい)
この本で期待したのは、そもそも上場企業になってブイブイ言わす前にバフェット自体はアービトラージや不動産取引などで稼いでいたこと等から、バフェットの投資法はバリューの長期投資だけではなくてこういう手法があるんだよ〜というところだったが、そういう話は出てこなかった。
また、シーズキャンデーなど有名な非上場の投資先についてもあまり触れられておらず、そちらは全然売っていないだろうから著者の主張と異なり必然的に「長期」になってしまうからだろうか?
この辺りのことを考えると、上場している企業のデータから読み取れる投資傾向というのは実態とはかなり乖離するのだなあという感想である。これは、著者のせいではなくそういうものだと取るしかない。
売買の傾向とか、何で損しているとかは見ていて面白いのでバフェットの最近の投資について知りたい場合は読んでも面白いかもしれない。
投資の種になりそうな話題は、私には見つけられなかった。強いて言えば直近15年くらいはFAANGやらマグニフィセント7?やら何やらをガチホしていればよかったんだなーという、日本株をメインにしてしまっている自分にとっては改めて突きつけられる頭の痛い話が思い返された。