複合レジャー大手ラウンドワンの概要
ラウンドワンは、現代表取締役の杉野公彦氏が父親から引き継いだローラースケート場を複合形態の店舗に改修して営業、その後自ら立ち上げたラウンドワンと言う会社と吸収合併して現在の株式会社ラウンドワンとなった。
上場している現在も創業者の杉野公彦氏が20%の株式を保有しており、筆頭株主である。
レジャー産業という浮き沈みの激しそうな業界かつ、コロナの影響ももろに受けるタイプの事業だ。私はメーカーなどの製品需要が安定している分野が好みなので普段の嗜好とは正反対である。
コロナが米国での業績が好調という風聞からラウンドワンが気になった。杉野公彦氏の経営者通信のインタビュー も面白い。
アミューズメント施設に子どもの頃から沢山行って好きになっていれば、大人になった時にそこへ誘う側になるようになる、という趣旨のことを語っていてパイをいかに増やすかという視点が良い。
ラウンドワンの業績の分析
決算資料 が質実剛健で良い。
コロナ前と比べると店舗数は増えているが、アミューズメント以外の全ての事業で売り上げが下がっている。(ボウリング, カラオケ・飲食, スポッチャ)
アミューズメントは、クレーンゲームなど少人数で行っても遊べるがボウリングやカラオケ、スポッチャなどは多人数で遊びに行ってこその面白さだと思うので(一人カラオケをするなら他のカラオケ屋で良い)コロナの影響が大きいと感じられる。
営業利益は赤字で、営業外でコロナ補助金収入等によって経常利益は黒字となっている。配当も出しているが、利益からではなく資本剰余金からの配当となっている。理由はラウンドワンのIR資料 に載っている通りだが、理由を読んでも私には正直飲み込めなかった。税金の取り扱いも変わるようで面倒なので利益が出ていないなら、素直に無配にしてくれる方がありがたい気もする。
米国での売り上げもコロナ前と比較してくれていて、飲食・パーティー以外の分野で昨年第2四半期くらいからは売上がむしろ伸びている。
今年度は新たに日本で1店舗、米国で4店舗、中国で2店舗出す計画になっている。国内は感染症を人にうつしてしまうリスクを重くみる人が多いため、まだまだコロナの影響が拭えなそうだ。
公衆衛生としてあまり良いことと思わないが、報道を見る限りアメリカではもうあまり気にしている感じがない。(医療関係者はめちゃくちゃ気にしているだろうが)
そのため、アメリカでは自粛疲れもあってか伸びているのではないだろうか。中国はゼロコロナ政策もあるため、出店しても当初はあまり奮わないのではないかと考える。アミューズメント施設の周りは人がいるところで、人がいるところはそうでないところより感染リスクが高いからだ。
2023年の売上計画は1ドル125円で計画していて、現在1ドル138円前後である。このまま進捗していけば円換算での売上がかなり上振れしそうである。今のところ日本だけ金融緩和という状況で円が長期的に上がりそうな感じがしないため、この路線が濃厚だと考える。
第一四半期後の見通し の方を見ると円安が織り込まれていて、17億円ほど純利益ベースでプラスになると見込んでいる。
さらに、コロナがオミクロン株の影響で流行り出してから出したこの見通しを見ても国内・米国ともに売上計画は上方修正されていることから Withコロナというやつに本格的に移行しつつあるのかもしれない。
コロナ前と比べたボウリング等の事業のシュリンクも段々と回復しつつあるので、今年はようやく少し息がつける年になりそうである。
ラウンドワンについての考察・まとめ
決算資料の質実剛健さと、米国内のみではあるが採算店舗と不採算店舗を色分けして見せてくれるのは非常にわかりやすくて良い。
好調な店舗は売上総利益率が30%を超えるようで、アミューズメントのような広い場所をとり、高価な筐体を用意して更に人がついていないと稼働できない施設でその利益率は如何にもすごそうである。(SEGA等のゲーセン事業の利益率と比較すべき)
あまり好きではないので、ボウリング自体全然やらないためコロナの影響をこんなにも受けていたのだと数字で実感し、これから立ち直ると良いなあと思う。この2~3年で人が集まらないとやれないマイナーなスポーツや文化は消滅の危機に立たされたんじゃないか。(ボウリングがそこまでマイナーだとは思っていない)
現状の株価自体は、コロナからの回復が織り込まれていそうで上がってきている。これからの株価は、海外展開によって今後またラウンドワンが成長路線に乗っていけるかというのを含んだものになってきそうだ。
私としては、昔台湾に行った時に日本のゲーセン文化がそのまま移植されているようなところが結構あるのを目撃していて、そういったアミューズメントみたいなものが輸出されていくことに関してはかなり楽観的に考えている。
ただし、アミューズメント事業はやっぱり良い時と悪い時の差が激しいのと、ディズニーのようにキャラクターブランド化されていかないと「ここだから行く」みたいなものが作りにくい事業だと感じる。
本来的には好みの種類ではない事業ではあるので、買うのを我慢できるか勝負である。こういう気持ちになって買った時は全て損しているのだから。