世界有数・日本最大の海運会社・日本郵船の概要
海運が好きである。海にでっかい船を浮かべて車だったり、鉱物資源だったり、コンテナだったりを大量に運ぶ。
どくとるマンボウ航海記を読んでたからか、海の旅に憧れがあるからだろうか。
たまにテレビでコンテナ船や自動車専用船などの航海が特集されていると、見てしまうのだ。
そんなわけで、ずっと狙っていたのだが単元株あたりの値段が高くて少し買うだけで、ポートフォリオに占める割合が大きくなってしまうのと、2021年に入ってから急激に上がった後だったので避けていた。
最近になって、臨時収入があって買ってもいいかなあというような状況になったので買ってしまった。
PERで見ると、海運株は破格の2.0台と見たことないような数字である。
なんでこうなっているのかと思うと、海運業界の収益構造の問題がありそうだ。
国土交通省が出している資料 によると
- リーマンショック前の船舶の大量発注で、船が多かったので運賃が下落
- 世界における日本商船隊の相対的な地位低下
これらによって、利益率が慢性的に低かった。(ので、おそらく株も見放され気味であった。)
そこに、コロナによってロックダウンが起きて物流が一時的に止まった。
そこからまた動き出すと、今度はコンテナ船が足りないとなって運賃が高騰して業績が伸びている。
ということらしい。
ちなみに日本の大手海運三社は上記の資料にも出ているが、3社でコンテナ船を扱う子会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)を共同で作っているのでコンテナ船の需要逼迫による恩恵は3社全てにある。
ここまで書くと、コンテナ船の需要が逼迫することで需要に応えるためにまた船舶を作りすぎてしまうのではないかという懸念が出てくる。
この事業環境の変化は1時的なラッキーによるもので、恒常的なものではないとも思える。
なので、まあそんなに褒められた投資ではなさそうな感がある。
こういうことがあって大きく上昇するような株は、マイナスの影響ももろに受けることになりそうである。
(反対は、医療や食料品などの景気にあまり影響されない業種)
だが、海運自体が不要になることは私の生きている範囲ではなさそうに思う。
物を運ぶのに、空に飛行機を浮かべて積むのと水に船を浮かべて積むのとでは圧倒的に後者の方が効率が良いからである。
陸運はエネルギー比でもっと高効率な鉄道がある。しかし、世界中に輸送できるのが船のメリットである。
(鉄道を大陸縦断して繋げる、一帯一路構想の恐ろしさも感じる)
ということは、もし今後20年くらい私がめちゃくちゃ強い握力で握り続けることができれば
紆余曲折ありながらもおそらくは、配当というわけまえをくれる存在であり続けるのではないだろうか。
ロマンで投資するのは間違っている感じもするが、やはり好きなので握るのである。
これは、保有効果という認知バイアスなので良くない状態だ。
下がって、少し前のように2000を切るようなことがあればまた買おうと思う。
たまに何かがあって良決算で恩恵をくれるのならばそれで十分楽しめるのだから。
コンテナ不足問題に対する追記
運賃がコロナ前から後で5枚程度になっている。現状PERが2倍程度だが通常に戻るとして利益が1/5ベースになるとして見込みPER10倍くらい・・・?
そう単純な話ではなさそうだが、割安ではない圏内にいきそう。
また、別の見方としてバルチック海運指数というドライカーゴ船(バラ積み船)の運賃の総合指数から見ると
2021年に高かった運賃も2022年1月半ばに入って安くなってきて落ち着いてきたかと思いきやこのところまた上がっている。
運賃が上がるイコール収益が増えるという単純な図式である。
全体の開運市況についてパッと調べたい場合は日本郵船がサイト内で市況データ を更新してくれていて、これがわかりやすい。
見てもらうとわかるのだが、2021年内に中国から欧州に運ぶ定期船の値段が1500円くらいから6000円台までおよそ4倍近く上がっているのである。
これは欧州の人が払う荷代になるのだと思うが、他も2~3倍程度には上がっていてさらに2022年3月現在インフレも懸念されているし、食品の価格と原油価格も上がっている。
べらぼうに高くなる生活コストである。なかなか凄まじい。
海運に関する話
海運関連の面白い話はコンテナ物語という本に載っているが、そこにも日本郵船や三井商船が出てきている。
いわく、アメリカのマトソン海運が日本の港でのコンテナの導入を手伝うがノウハウがわかると同時に、組んでいた三井商船側が自分たちでやれるとさっさとマトソン海運を切ってしまったとのこと(1970年台初頭の話)
こういう話なんかは、ちょっと前の日本が中国から技術を盗まれるぞと大騒ぎしていた話と被る。
ノウハウだけ欲しいのはもちろんどこもおんなじで、世の中パクりパクられで良くなっていくのだと納得してしまった。
コンテナ自体のイノベーションに関してもとても面白いのでおすすめ本である。
海運の市況についてもわかりやすくて、景気の加熱と共にコンテナ船が不足して運賃が上がる。船があれば儲かるので船を作る。
海運業界の皆が同じように考えているので、船が造られすぎて余る。船が余ると、運賃が安くなってでも荷物を運んだ方が動かさないでいるよりまだマシなので運賃が下がる。
こういう構造がコンテナ船が生まれてすぐに出現している。今現在も、この構造は変わっていないように思う。
2022年9月現在の話
日本郵船の社長が海運市況のリセッションについて取材に答えた記事 などがあるように、やはり海運は運賃・原油価格等でかなり状況が上下しやすい業種であるように思う。
いつかは運賃が下がったりして好況が終わるということは考えていた。そういうわけで私自身は郵船の株はもう利確してしまっている。
今からエントリーしようとしている人は、PERの低さにだけ目を向けないようにしてどれくらいまでこの利益が出せるかを考えて買った方が良いように思う。2022年の夏までこの状況が続くと思っていなかったので私自身先を読む目があるわけではないが、下がる時は一気に下がるように感じられる。