大まかな内容、五つの原則について
この本は、まずティリングハストが5つの原則を提唱してそれに沿った解説をするという章立てになっている。5つの原則は以下である。
- 感情的になって勘に従わない。
- 他人の知識にのみ依拠して、自分が理解していないものに投資をしてはいけない。
- 不正直な人物や非常識な人物と投資をしてはいけない。
- 流行に左右されたり、変化が激しかったり、多額の負債を抱えている事業に投資をしてはいけない。
- 最新の「ストーリー」銘柄に投資をしてはならない。
これらを細かく章ごとに解説してある。数式はほぼない、原理原則の話で文章が主なので割り算掛け算ができればついていける内容であると思う。
上記の項目にピンとくる点があるなら手にとってみても良いかもしれない。
本の気になったポイント
ティリングハストは、安定して積み上がっていくキャッシュフローを重視しているようなので、利益が安定しないシクリカルな銘柄(景気循環株)は避けるように言っている。これについては、好みが分かれるところで安定しているのが好きならば従うくらいの話ではないだろうか。
また、キャッシュフローが常時マイナスなのに、非GAAP基準(アメリカの話なので)で利益がでているなど危険な会計の兆候を見抜いて避けるように指摘している。(一例としてエンロンが挙げられている)
ただ、この見抜いて避けるというのができればそもそもしているぜ!という感じではある。
割引率、シラーのPERなどの道具で割安度を測るという話も出てくる。
恥ずかしながら私はシラーのPER というのを知らなかったので、
利益と株価の比率を測るスナップショットであるところのPERを長い目のスパンで測れるようにするこの考え方はとても良いものだと感じた。(今までは過去の業績から頑張って自分で計算したりしていた。)
甘い餌に飛びつかない、他人の嘘に騙されない、流行り物に踊らされない、ちゃんと事業構造を理解する。端的な言葉にできるように単純であるが、ティリングハストの長い経験に裏打ちされた内容ではあるので説得力を感じる。
他の投資本との比較
基本的にバリュー投資家なので、バリュー投資家の大家であるバフェットの投資方法について書いてある「バフェットからの手紙」などで書いてあるような内容が書いてある。五つの原則自体もバリュー投資家が言いそうな内容ではある。
その他、バリュー投資関連で見たことのあるような内容にはなっているのでそういった本を読んでいる場合特段目新しい話題はない。
この本の方が安く手に入るような場合はこちらを選んでもいいとは思う。(私はKindleのセールで買った)ただ、バフェットからの手紙は版が多く重ねられており古本屋で簡単に手に入るだろうからそちらを手に入れるコストの方が低そうではある。
私は投資・マネー本好き(上品ぶったパチスロ雑誌マニア)なので、この本も楽しかった。こういう大家が書いた本は、読んだだけで自分も儲かった気がして脳汁が出てしまうのでそういったドーパミン過剰な人にもおすすめである。