地銀株を買う前に読むべき本を読んだ

地銀について勉強する

最近、地銀株が熱い。某有名個人投資家の方が大量に保有したことでそこに後追いして入る人も多かったことだろう。

私としては、日銀のトップが変わると利上げが行われるのではないかというリスクと、利上げが行われた場合地銀の収益力が上がって利回りが良くなるのではないかというプラス面があり得そうだと思っていたのでこの辺どうなのか知りたかった。

また、短期的に利回りが上がる可能性もあるが地方自体は今の少子化によって人口が減少していくのはほぼ間違いなく、その場合地方にある企業数は減少してお金を貸す対象がさらに減るであろうことも間違いなさそうだ。

そこで、現状の地銀全体が置かれている現況を把握するために「地域金融機関の収益力」という本を読んだ。

地銀全般だけではなく、農協・信用金庫などのいわゆる地域金融機関全般についての現況を学術的に分析した本である。ここの地銀の章について読んで情報を調べてみた。

地銀は金利が下がっていて、地方での資金需要が下がっていることからメインの稼ぎ頭である貸出業務の利益率が下がっていて今後もそこが下がり続ける可能性がある。

その中で、政令指定都市などの人口減少が緩やかな地域とめちゃくちゃ田舎の地域とで地方特性が異なるために利益ベースの変化にも違いが出ている。

端的にまとめると以下のようになる。

  • 大都市圏の地銀は、比較的少子化の影響が小さいが他の銀行や金融機関との競争が激しい。
  • 地方の中核都市にある銀行は、合併等でドミナント戦略ができれば少し環境が良くなるかもしれない。(ただし、人口減少による収益悪化もある)
  • 地方圏の地銀は、人口減少の影響をモロに受ける。コア利益率が既にマイナスである地銀が多い。

以上のようになっている。大まかに貸出業務の比率が6割を超えて証券運用・投資信託販売などの手数料収入が2割ずつといった事業ポートフォリオになっているところが主なので、メインの貸出業務で利益が取れないと厳しいところが多い。

これらから、さらに現行の地銀の生き残り戦略である合併等についての情報も読み解いた。合併によって、コストを削減したりして貸出の利益率を上げたりする目的によるものであるが、これについてもまとめてみると以下の通りになる。

  • 合併・併合によって、支店を統廃合することによるコスト削減メリットは既に出始めている。
  • 合併・併合によるコスト削減による営業利益率の向上は、合併・併合による手続の増加によって打ち消されてしまっている。
  • 合併・併合によってサービスを拡充したり、プラスの効果が出るまでには時間がかかる。(つまり、まだ将来のマイナスに対しての施策しか打てていない)

というような現況であるようだ。

現行の取り組みだけでは不十分であり、地銀全体が生き残るために独自の戦略に打って出なくてはならないという現状のようだ。

また、金利が上がっても地方企業自体の資金需要が旺盛でなくては利息を上げられない、もしくは競合があることで利息を下げざるを得ないため、ただ単に金利が上がるだけでは地銀にとってプラスにならないようだ。

加えて、銀行だけではなく他の資金調達方法(クラウドファウンディング、クラウドファウンディング型株式投資、ファクタリング等々)が増えていることもありライバルが多い。厳しい事業環境にあることは間違いなく、地銀だから即投資妙味があるという状況ではなさそうである。

つまり、コスト削減と効率化によって持続可能な利益ベースがあるか、これから工場がガンガン立つぞという立地や地元企業とのパイプが生かされるような状況、新しい取り組みが上手くいくという公算、そういったプラスの要素があって生き残り、さらに反転攻勢がかけられるような地銀を見つけられるならば良いと言えるのではないだろうか。

結構難しい要求であると思うが、地銀の人たちもピンチであるということは理解しているはずで、であるならばそのうちのどこかが生き残りの一手を見つけることもあらあなと感じる。

普通に儲かっていて良い事業構造のところや、メガバンクの株を買う方が断然リスクは少なそうである。ただ、だからこその逆張りの面白さはある気がする。

ただ、相乗りで買うような銘柄ではないと感じる。同じ相乗りならばシクリカルではあるが、商社株を買って握っておく方がある程度安心な気がする。(資源価格が下がって景気が悪くなってくる前にはバフェットは売り抜けている気もするが)

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