投資本 「テンプルトン卿の流儀」を読んでみた。

投資本強化期間で様々な本を読んでいるが、自身の投資パフォーマンスに影響を与えている感じは一切ない。

ただ、自分なりのモデルチェンジみたいなものがあって、利益が出ているものをガサっと処分してたり、今までなら手を出さなかったタイプの銘柄を物色していたりする。

これが良い変化かどうかは、来年のパフォーマンス込みで考えたい。

長い目線で捉えて、生き残れるかを第一に考えることは気をつけたい。

大まかな内容、作者はどういう人か

テンプルトン卿の甥っ子?が書いている本で、要はおじさんがすげーファンドマネージャーだから自慢してやるぜという本である。実にけしからん。

テンプルトン卿とやらの教えに従うような投資家のことをバーゲンハンターと称し、割安な株や国債を新興市場など発掘場所を限定せずに探して買い、適正価格になったら早めに手仕舞うというスタイルを推している。

日本株がまだ注目されていない1970年代の時点で投資を行い、注目されるようになった80年にはもう手仕舞うという早さと、その成長のサイクルが同じように韓国・中国でも繰り返されると予見して投資を成功させている。

巻末にある筆者の家族やファンドの人たちの写真がまた非常に金持ちそうである。きちんとタックスヘイヴンで生活していて、こういうところはあまり尊敬できない。

本の気になったポイント

銘柄ではなく市場の見通しの変化に力点を置いた投資なので、5年~10年とかそういうスパンでの長い投資になりがちである。

元々ある程度お金持ちで、資産に余裕がある人間でないとこういう投資はしにくいのではないかと思うところはある。

虎の子の100万円を今、ベトナム株に突っ込んで10年待ってられますか? みたいな質問にYesと答えられる人間がどれくらいいるだろうか。

反対に、そういう長い目で見た投資ができる人間がそうそういないということは勝ち目が生まれやすいということでもある。

市場が成長するという想定に依って立つならば、長期で持っていられるのならば高値でつかまなかれば損しまくって終わるということもあまりないだろう。

資金効率を上げるために短期でトレードすることがハイリスクになることが腑に落ちるなあと、この本を読んで改めて思うなどした。

またテンプルトン卿は利確がめちゃくちゃ早くて、日本株だとバブルになる前の段階で既に売り払っていて次のバーゲンを探し始めるなどかなり保守的な投資家である。

こういう立ち回りが愚直にできることこそが、他者との差別要因かつ利益源泉なのだろうなあと思ったりする。(結果論ではあるが)

他の投資本との比較

銘柄ではなく、国ごとや金融商品ごとの市場のサイクルに力点が置かれている本は結構珍しいと感じた。

バーゲンの基準みたいなのは、PERなど基本的な指標に拠っていて込みいった難しい話は取り上げられていない。

インターネットが普及した今でも、あまり誰も目をつけていない市場のようなもの、あるいは期待値よりも低く評価されている市場は存在するはずではある。

この本を読んでおくことで、そういった視点で国際市場を俯瞰できるという意味では良いかもしれない。

筆者一族がめちゃくちゃ稼いでいて気に食わないという点を除けば、面白くて良い投資本だと思う。

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