投資本 「株はメンタルが9割」を読んでみた。

最近はKindleのセール、Kindle Unlimitedの3ヶ月199円セールで投資本が沢山読めるので、成功者の本を安く読んで自分も爆益した気分になっている。しばらくブログでは書評や感想をいっぱい書くつもりである。

あまり持っている株に動きがなく、やることがいろんな企業の決算を覗いてみたりするだけになっているのでしばらくはインプット期とする。

大まかな内容、筆者の投資スタイル

以前から株式投資をしていた筆者が、リーマンショック時に信用取引で資産を溶かして得た経験を基に、後に資産を増やしていったスタイルについて紹介する本である。

筆者の投資スタイルは小型成長株の長期投資で、ピーターリンチの名前をよく出しているのでそういったスタイルの投資を好むタイプのようだ。

基本的には、時価総額がまだ小さくて成長する余地のある企業を勢いがある(株価ではなく業績)タイミングで値を分散させて仕込んでおけば、あとは我慢していれば上がるよというような内容であった。

銘柄数自体の分散は、資産が少ないうちは上がり幅を取る量が少なくなるので勧めておらず、5銘柄くらいに絞っていたようだ。

本を書いている時点では筆者自身が7千万円を運用しており、額が大きくなったため20銘柄くらいに分散されていた。

実際、筆者が作中で表示しているポートフォリオは大幅な含み益となっており素直に羨ましい。羨ましくて耐えられなくて、こういうのは嘘だったらいいのにとかちょっと思ってしまうのは内緒である。

イジワルを言えば、リーマンショック後からアベノミクスという流れはそりゃあ下手打たなければある程度は勝つでしょという感じはしていて、筆者が凄腕なのかどうかという点は正直よくわからない。(2022年はグロースが厳しい年だったと思うので、今年はどう潜り抜けているのかが気になるところ)

例えば、作者が作中で何度か触れていたHamee(3134)などは、2021年7月にこの本が出てから2022年の10月現在まで右肩下がりで落ちている。果たして今はポジションは手仕舞いしたのかどうか気になるポイントである。(Twitterやサイトでは今のポジションについて触れていなさそうだった)

ただ「二流投資家を目指せ」という章がある通りに?凄腕であることを誇っているわけではないことは付け加えておく。

本の気になったポイント

「PERの高低は、その企業ごとで変わるので割安かどうかは企業ごとに決まる」というようなことが書いてある。ある程度同意するのだが、こと成長株においては特に「予想された成長率が保たれている場合は」というのが枕につく。相場の環境や業種によって期待されうる成長率は異なるためそういったマクロの観点についてもっと触れてあってもよかったかと。

予想された成長率が保たれない場合は下落するので損切りと書いてあって、まあそれは当然なのだが、この本を読む人は恐らく「どうしてこの会社はこの成長率が保たれる」という当たりをつけているのか? などの要素が知りたいのではないだろうか。この本の著者の場合は当たらなかったらすぐに撤退を繰り返して当たる株のみを残しているっぽいので、そういう話ではないというのも分かるが知りたいものは知りたい。

「期待値が1.0より高い株に手を出す」という村上世彰がよく著書などで主張している内容を何度も同じように主張している。これくらい何度も出てくるようなら自分のものに消化できていて、元は人の意見でも、自分でそれをモノにできて自分なりの哲学に落とし込めている感じがする。スタイルができている投資家はやっぱり勝ってる投資家なのかなと思うなど。

他の投資本との比較

内容としては初心者向けでわかりやすく、とんがった取引をすすめるような癖の強い内容でもない。初心者の人が初めて読む本がこの本でも、他の本も読むという前提ならそんなに悪くないのかなあという気もする。

ただ、10年そこそこの間で資産をガツンと増やしている人なので自分も同じように・・・と思うと痛い目を見るかもしれない。

また、トリッキーで濃ゆい内容ではないので、他の投資本と一線を画す感じではない。正直、古典を読めばここに必要なことは書いてある。この本だから手に入るような投資の情報はほぼないと言ってもよさそう。自分とスタイルが似ている場合は、この人のスタイルから取り入れられることはあるという感じだろうか。

翻訳された文章を好まないなら、ピーターリンチの本の代わりにこっちを読んでも大雑把には同じようなことが書いてあるだろう。

結局のところ、企業価値の分析や各種業界自体について勉強できる投資本ではないジャンルの方がむしろ投資についての学びもあるように思うのだが、ギャンブル脳によってこういう本を読んでは脳汁をせっせと生産してしまう。

恐らくは著者の読んでほしい読み方ではないが、仕方のないことである。

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